仏壇・仏具のご相談、お困りごとはこちらへCLICK

上野亜希子– 彩色師 –

上野彩色

上野亜希子
Akiko Ueno

彩色師
彩色経験 2000年~ / 大分県出身
・2000年 京都の彩色工房に入社 ・2007年 上野彩色として独立し現在に至る
工房で仏像に彩色する様子

好きなことをやってるという実感に支えられて。

…どうして、彩色師の道を選ばれたのですか?

小、中学校とクラスではジメジメとかなり陰気なオーラを醸し出していたと思います。美術系の高校へ進学し「人と違っても良いのだ」と思えたし何かが弾けました。
京都の短大では立体クラスを専攻し漠然と舞台美術に関われたらと思っていました。しかし卒業後、何者にもなれずただ時間が過ぎる日々を見かねた親から地元へ帰還せよとのお達しが。そんな折、偶然「彩色工房」の求人を見つけ、この世界に飛び込んだのが始まりです。人が関心するようなきっかけが無くて申し訳ないんですけど、、、ただ、この偶然が転機でした。彩色の世界にハマったといいますか。決して手先が器用とか絵が得意な訳ではないので毎日が必死ですが「好きな事をやってい
る」という実感があります。ただそれだけで今まで続けてこれたように思います。

家庭用仏間の鳳凰天井画
井上秀峰_仏具_四天王
寺院用壁画「四天王図」

彩色×〇〇で誰かの役に立ちたい

…………どんな時に仕事のやりがいを感じますか?

言われた事をこなす。基本中の基本、これも大事な事です。その上で「彩色×〇〇」何か出来る事は無いだろうかと彩色屋としての在り方を考えていた時に井上秀峰の井上さんより「お厨子に月をモチーフに彩色をして欲しい」とのご依頼を受けました。「彩色×〇〇」を試す時が来たな。と思い、顔色を伺いつつ、お厨子の月と関連付けたオリジナルハーブティの提案をさせて頂きました。井上さんに快諾いただき商品化に至りました。
彩色でも彩色じゃなくても、精神的半径五メートル以内の大事な誰かの役に立ちたい。そんな感覚で行動していたい。その結果、誰かが喜んでくれたなら、やっていて良かったなと感じます。これが「やりがい」というものなのでしょうか、、10年後くらいになら分かる事なのかもしれません。
要望があれば不定期ながら「彩色ワークショップ」もさせて頂いています。実際に彩色で使用する材料で体験して貰います。寺社仏閣へ行った時の鑑賞の参考になればいいかと思います。

五劫思惟阿弥陀仏のお厨子「月の癒し」
井上秀峰佛具店企画「彩色ワークショップ」

理想は常に真摯であり続けること

…………今後どんな風に仕事を展開したいですか?


ある時「故人の好きだった新幹線をお仏壇に描く」というご依頼を受け、ご家族にお会いし想いやイメージをお聞きして制作をさせて頂きました。彩色師になり初めてのケースでした。通常はご依頼主様と直接お話する事は少ないんです。この経験により、誰かの想いや祈りを一緒にカタチにしていく。そのお手伝いが出来たらと考えるようになりました。「こいつに頼んだら、まあ何か良いモノが出来るかも」そんな風になれればと思います。なんて理想ばかりですが。口だけではなく技術も磨きます。

上野亜希子_新幹線厨子
家庭用仏壇扉「こまち・はやぶさ」
工房に並べられた多数の顔料
井上秀峰と上野さん
井上秀峰佛具店との打ち合わせ
絵馬のための試作より
彩色

仏像仏具や寺院全体に施されている彩色には次の三種類がある。 極彩色は木彫に胡粉の下地をして何度も色を塗り重ねる重厚な味の出しやすい一般的な彩色法。 木地彩色は木の素材を充分に生かした彩色法で、淡い絵具を使用し、木の上に 直接彩色する彩色法。 箔彩色は金粉押をしたその上に淡い色使いで、金箔と絵具の融合した透明感の 出しやすい彩色法。技術的には膠を接着剤にして、岩絵具・水干絵具を素材である彫刻等に定着させる。絵具の調合が重要な要素の一つで、それによって京都で出来た仏像 であり木彫であるということが判明する。彩色には塗る工程と描く工程がある。古来よりよく使われている家相華、 唐草、花鳥、四神、四霊等を描き入れている。他に仏画、壁画、襖絵、天井絵等も 彩色の一貫の仕事である。
京都府仏具協同組合より引用